雲閩農莊でお茶づくり 甘くて芳醇な味で心も温めましょう 

台湾東部

 大家好!美麗(メイリー)台湾のshigiです。みなさん台湾の東側、花蓮エリアでも台東に近い富里鄉にある「六十石山」をご存知ですか?北は花蓮平原から南は台東平原まで続く、中央山脈と東部海岸山脈に挟まれた縦に長い平原:花東縦谷に「六十石山」はあります。ワスレナグサ(ここでは台湾の金針花を指しています)の産地、またお茶の産地として有名な場所で、特に毎年8月から9月にかけて連なる山々が金針花で黄金に輝く景色が見られるそうです。

今回はそんな花蓮縣富里鄉の「六十石山」にある『雲閩農莊』という民宿へ遊譜YOUPUTの編集部が取材へ行った記事をご紹介します。

六十石山についてご参考:台湾観光局 https://jp.taiwan.net.tw/m1.aspx?sNo=0003124&id=R39

 有機栽培された茶畑の新葉には、出迎えてくれる農園主の持つ親切さ、香り豊かな深い含蓄とわざとらしさのない人情味が自然と滲みでます。

 午後の列車が富里駅に入ると、街はまだ灼熱の太陽の下でうだるような暑さでしたが、六十石山への道は徐々に涼しくなり、「雲閩農莊」は山のふもとにあり、その景色を見れば前後に山々が連なっているのがわかります。農莊に近づいて見てみると、茶葉があちこちに舞っていました。「おいで、一緒にお茶を摘みましょう!」美しい山と水が流れる静けさを破って、茶荘のオーナーである王俊元氏が、ユーモアたっぷりに、取材班一行を有機的な茶畑の冒険へと案内してくれました。

 お茶を摘むには服が必要、一緒に畑へ ーお茶は良心のビジネス

「少々待っていてください、帽子を用意しますから。」王俊元氏は細かいところにこだわる方で、お茶作りの最初のステップは、不要な物を置き、帽子をかぶり、竹籠を手にして、王氏の後に続いて茶園の道に入っていくことだそうです。「この一芯二葉を見てください、このみずみずしさがまさに摘み時ですよ!」彼が話し終えると同時に、王氏はすでにいくつか葉を摘み取っており、取材班に自分だけの新葉を摘むこと、そして手早く摘み、少なくとも竹籠の半分摘み取るようにと、促したのです!

摘み取ったばかりの「お宝」に喜びの色を隠せません。撮影/陳宜楷

 昼下がりの茶畑で茶葉を摘む3人は、農業の喧騒を味わうのではなく、農耕生活のゆとりを感じていました。 目で素早く見切り、手を動かし、積んでは竹籠に入れるのを繰り返していると、王氏が大声で突然「見てください、小綠葉蟬(チャノミドリヒメヨコバイ)ですよ!」「茶葉が小綠葉蟬(チャノミドリヒメヨコバイ)にかじられると、特殊な蜜と香りを出すんです。」と声をかけてくれました。小綠葉蟬(チャノミドリヒメヨコバイ)は見た目は蛍光グリーンで、キラキラとしており、米粒よりもさらに小さいのですが、こんなに効用が大きいのですね!

*小綠葉蟬(チャノミドリヒメヨコバイ)とは・・・台湾の山間部でよく見かける虫で、5月・8月・9月のピーク時には成虫と幼虫が桑、茶、柑橘類、苧麻、豆、桃などの樹液を吸って、茶葉の成熟に寄与します。

王俊元氏が真剣に自家製の有機茶葉を紹介している姿。撮影/陳宜楷

 雲閩農莊の2.2ヘクタールの茶畑ではすべて有機農法を採用しています。「お客様には『お茶を飲むというのはこれすなわち良心を飲むことだ』といつも言っています。」とは王氏の言葉です。雲閩で栽培されている金萱茶、蜜香紅茶、蜜香緑茶の品種にも、小綠葉蟬(チャノミドリヒメヨコバイ)が訪れ、お茶の自然な味を引き立ててくれる、そう王氏は胸を張ります。

ちなみに・・・ 遊譜の調べによるとある茶農家が茶葉の手入れをしなかったため、害虫が発生してしまったそうです。しかし、大きな損害を出すことに耐えられず、小綠葉蟬(チャノミドリヒメヨコバイ)にかまれた新葉も摘み取り、通常の工程を経て茶葉にし、茶商人販売したところ…思いがけず、茶商人がそのお茶を試飲してその芳醇な甘さに気づき、高値で買ってくれたので、農家の人は家に帰って近所の人に自慢しました!近所の人たちは信じられず、茶農家の「ほらふき(台湾語:膨風)」だと思ったようで、「東方美人茶」「蜜香紅茶」「蜜香緑茶」は、それ以降「ほらふき茶」と呼ばれるようになったと言われています。

炒茶には我慢強い努力と大胆さに加えて、苦労を味わうことも必要なのです。

 摘み取ったあとには大型の竹籠の中に入れて、日陰の涼しい場所で発酵させます。ここで作っているのは蜜香緑茶で、軽発酵のため待ち時間こそ比較的短いものの、王氏はやはり生産工程のどのステップにもこだわり、竹籠のそばにしゃがんで、摘みたての若葉を注意深く観察し、古い葉と混ざらないように厳選していました。茶葉の品質を維持することは、自家製品への誠実さを証明する最高の原則なのです。

 故郷での茶の栽培に関しては、王氏は惜しげもなくこう言いました。「高い給料を捨てて故郷へ戻ってきたとは言いたくない」と。16歳のとき、親からの数百ドルを持って単身台北に出稼ぎに行ったそうですが、「台北に行ったときは本当に泣いた!数百ドルでどうやって生きていけばいいのか?」と。そうして、王氏は台北で建設関係の会社で輝かしいキャリアを積んだ後、故郷に戻り、茶畑で人生の新たなチャンスを見つけた、どこで何をしようとも、何かを決めるときは勇気がいる、と語ってくれました。

そして、発酵させた茶葉は、茶炒り機に送られて炒められます。茶炒り機は回転して熱を含み、酷暑もあって耐えがたい状況となりながら、王氏は慣れた手つきで炒茶の温度を掌握していました。「熱ですよ!熱こそが茶葉から水分を押し出してくれるのです!」このような原動力によって、雲閩で生産された茶は数々の一等賞を受賞しており、農民の苦労と喜びを表す大きな楯が高く掲げられ、それがまたお茶の甘みを引き出しています。

王俊元氏は慣れた手つきで機械を操作し、経験に基づいて炒る温度と時間を掌握しています。撮影/陳宜楷

お茶揉みには、正しい力と正しい心を使うこと

 片手で竹籠を持ち、もう片方の手で茶葉をこねてボール状にすると、ほのかにお茶の香りが漂ってきました。「さあ、やってみよう!」と、王氏が手に持っていた茶葉を私たちに渡してくれました、さあ、私たちの番です。体験してみてわかったのですが、茶葉を揉むのは簡単ではないことがわかりました。片手でお茶をこねるのはかなりの技術が必要で、茶葉を集め、強く押さえつけ、同時に左右へ揉み転がすのですが、「これではダメですね、茶葉の香りが漂ってきてはじめて合格です!」と王氏は私の手から茶葉を取り、それを練りながら言ったのでした。

片手で茶を揉んでいくと、服を揉んだ時のように茶葉から香りが漂ってきます。
撮影/陳宜楷

 農家は多くを観察、学ばなければなりません。「最初は茶を育てておらず、色々育てていたら、ある日、近所の人がお茶を持ってきてくれてそれを飲んだのがきっかけで、お茶の栽培を始めたんです。」と王氏は茶葉を練りながら言いました。かつてこの農荘は「山大王」と呼ばれていましたが、政府がレジャー農業を推進してからは、農莊は「雲閩」と名付けられました。これは、一家が雲林一帯に住んでいた閩南出身だったことに起因し、1959年の嘉南平原の87洪水の後、六十石山に移住したことから、「雲閩」と呼ばれるようになったそうです。

 お茶を長持ちさせる秘訣は、「とにかく揉む!この腕でトップクラスのお茶を作っているんです!」試行錯誤すれば一般の人の腕でもお茶の香りを出せるようになる、と王氏は謙遜していますが、お茶の香りが漂ってきたときには、やはり達成感もひとしおだそうです。

自家製のトップクラスの茶の話になると、王俊元氏の顔に誇りが浮かびます。撮影/駱姿宇

お茶を頂きながら、楽しく夜を過ごしましょう~腕は口ほどに物を言う

 お茶が乾いた後、取材一行は雲閩農荘で夕食をとりました。料理は豪華で、ローストチキン、エノキの和え物、ハタの清蒸、イノシシの塩焼き等、全て奥さんの作った料理を振る舞っていただきました。民宿の食事を管理している彼女は笑って「彼は遅くに寝て、私は早起きしてご飯を作る!お互いを穴埋めできているわ!」話してくれました。もともと台北でツアーガイドをしていた奥さんは、花蓮に嫁いだ後に、王氏と一緒に民宿を経営し、お互いに支え合いながら、雲閩の日々をともに作り上げてきたそうです。

出来上がったお茶を口に運ぶと、ビスケットのような乾いた香りがして、さわやかな味わいに包み込まれます。撮影/駱姿宇

 お茶作り体験の話が続きましたが、ここはそう民宿なんです。「あなた方の部屋のテーブルや椅子、フックは全て私が作ったのですよ!」王氏は自らを冗談めかして「飯食って死を待つ」と言いますが、農作業のすきま時間を利用して民宿の品質を維持して、遠くから訪れてくれた人に最も素朴で自然な味を伝えたいと願い、民宿内のアイテムや装飾品、家具の多くは自分でデザインをし、木で手作りしていると教えてくれました。

王氏お手製の床、木のテーブル、テレビの壁など、古風で素朴な雰囲気にあふれています。画像提供/雲閩農莊

 お茶を楽しむ時間は刻々と流れていき、数杯ほど飲んだところで、王氏はユーモアたっぷりに、よそから来た我々に、自然に親しみ、人の優しさにあふれる富里を知ってもらえるような案内をしてくれました。まるで、20年間の彼の足跡をたどって行くかのような気分で、まさに、満点の星空に勝るは富里の人々の人情ということを実感できました。

取材班が摘んだお茶を氏自らが淹れてくれました。甘くて滋味にあふれた味は忘れられません。撮影/駱姿宇
雲閩農莊で採れたトップクラスの蜜香紅茶。カップの底に描かれた手描きの花は、茶葉そのものの自然なルビーレッドの色と調和しています。
撮影/王琳

花蓮縣富里鄉の「六十石山」には『雲閩農莊』という素敵な民宿があるだけではなく、都会とはまた違う、大自然の魅力が溢れる台湾の魅力があります。台湾旅行の行ってみたいリストへぜひ追加くださいね。

出典:遊譜YOUPUT

雲閩農莊做好茶 甘醇入口溫暖入心-遊譜YOUPUT
有機茶園翠綠鮮嫩的一心二葉、農莊主人上前迎接的隨和親切,自然散發茶香醇厚的底蘊和不造作的人情味。-遊譜YOUPUT網站

特別感謝

雲閩農莊 yun min villa

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