台湾東部に位置し、太平洋の海と内陸の山々に囲まれる花蓮(ホァリエン)。
自然が多く残り、台湾原住民族の文化も根付く美しい場所に約30万人以上の人々が暮らしています。
花蓮と聞くと、昨年4月3日に花蓮沖を襲った地震を思い出す人も多いかもしれません。台湾屈指の観光地でもあるタロコ峡谷など、被災したエリアでは現在も復旧作業が続いていますが、花蓮の街や人々は震災後すぐに日常の生活を取り戻しています。
筆者も地震のあった数か月後に1週間ほど花蓮に滞在、その後も足を運び花蓮の魅力あふれるスポットやグルメをたっぷり堪能してきました。
一時は地震の影響で観光客が激減してしまったメジャーな観光地から、地元の人に教えてもらった少しディープな場所まで、この記事では「花蓮のおすすめスポット8選」から現状の受け入れ体制を調べました。
台湾の東側に行ってみたいけど地震は大丈夫? どこに行こうか悩んでいる、という方必見です!
花蓮のおすすめスポット8選と現状
1.太魯閣国家公園

太魯閣国家公園は今……
花蓮の観光名所と言えば! 真っ先に挙げられるのが「太魯閣(タロコ)国家公園」。
台湾を代表する景勝地として知られる台湾8景の一つで、大自然の絶景を楽しめるスポットです。
▶「台湾人800人に聞いた! 日本人に絶対行ってほしい台湾スポット 8選」の1位にも選ばれました!
しかし、昨年4月の地震の被害が最も大きいエリアでもあり、その後に台風の影響も受け、現在は景観スポットや遊歩道は一般開放されていません。
復旧作業を急いでいるため徐々に解放されていく見込みですが、完全に復旧するには長い年月がかかるとも言われています。立ち入り禁止区域に入ると罰金を科されることがあるため、一般の観光客であればしばらくは別のスポットを楽しむのが無難のようです。「太魯閣国家公園」の最新状況については公式HPでチェックしてみてくださいね。
▶太魯閣国家公園の公式HP
2.清水断壁

SUPなど海のアクティビティも人気の清水断壁!
花蓮観光で外せない絶景スポット「清水断壁」。
花蓮県秀林郷の和平から清水の間にあり、全長22.7キロメートルにわたり大迫力の断崖が連なります。
最高地点は海から800m以上あり、宜蘭県と花蓮県の間を南北に走る蘇花公路で最も美しい場所として、台湾8大奇景の一つにも数えられます。
この断崖はフィリピン海プレートがユーラシアプレートを押し上げた結果できたもので、約2億5千年前に断層構造によって形成されました。大理石、片麻岩、緑色片岩等で構成され、雨や風により表面の柔らかい部分が侵食され、今のような壮大な大理石の断崖となっています。
また、蘇花公路176.4k地点の崇徳トンネル入口横には展望台があり、清水断崖の眺望を楽しむのに最適なロケーションとなっています。地震の直後は蘇花公路の大清水隧道付近では道路が崩壊し一時通行不能となりましたが、復旧工事が進められ、現在は新たな下清水橋が完成し、双方向の通行が可能となりました。道路の最新情報は太魯閣國立公園管理処の交通情報案内(日本語自動翻訳あり)をご確認ください。
ここでは、清水断崖の周りの海でSUPに乗りながら日の出を見るツアーが人気だそうで、日本語で予約ができるプランもあります。ぜひ、花蓮で壮大な大自然に囲まれ絶景を味わうなら少し足を延ばして「清水断壁」まで足を運んでみてください!
▶地図
3.七星潭

透き通る太平洋の海を一望できる「七星潭」
美しい太平洋を一望できる東海岸のビーチスポット「七星潭(チーシンタン)」。
花蓮県政府が長年にわたって開発と保護に取り組んできた結果、今では花蓮随一の景勝地となっており、別名「月牙湾(ユエヤーワン)」とも呼ばれています。
七星潭風景区にはサイクリングロードが整備されており、南濱公園、石彫博物館、賞星広場などの人気スポットを自転車で一度に回ることができます。筆者も花蓮の市街地で自転車をレンタルしてサイクリングロードを駆け抜け「七星潭」まで行きましたが、平坦で道が広いのでとても走りやすく海風を浴びながら颯爽と花蓮の自然あふれる道を走り抜ける感覚が心地よかったのを覚えています。
天気が良い日は透き通るコバルトブルーの太平洋の海を眺めることができ、地元住民の間では夜景や天体観測を楽しむのに絶好のスポットとしても知られています。
▶地図
4.七星柴魚博物館

子連れで楽しめる体験スポット「七星柴魚博物館」(公式HP)
台湾唯一の産業博物館「七星柴魚博物館(七星カツオ博物館)」。
前述の七星潭風景区の隣にあり、子連れの観光客や地元民に人気スポットです。(花蓮県出身の美麗台湾スタッフにもおすすめされました!)
かつて、カツオは七星潭海域の主要な水産物でした。しかし、急激な捕獲や海洋環境の変化等の理由から生産力が弱まり、この地にあったカツオ工場は閉鎖され、新たに博物館としてリニューアルオープン。
館内には、魚の加工・生産エリア、カツオの歴史展示エリア、DIY体験エリアがあり、台湾のカツオ生産文化を学ぶことができます。カツオを使った料理やドリンクもたくさんあり、花蓮ならではの珍しい地元の特産物をお土産として持ち帰ることもできます。
日本語でDIY体験の予約ができるサイトもあります。カツオの花削り体験やたこ焼き作り体験など小さな子供から大人まで楽しめる内容なので、ぜひ、七星潭エリアに行かれる際はセットで訪れてみてください。
▶公式HP
5.花蓮文化創意産業園区

台湾の文化・アートを体験できるリノベスポット「花蓮文化創意産業園区」
台湾が推進する5大文化創意産業園区の一つ「花蓮文化創意産業園区」。
100年ほど前に建てられた酒造工場を、2011年にリノベーションして一般公開されました。
戦時には建物の3分の2が破壊されましたが、現在も敷地にはもともと使われていた工場、倉庫、かつての職員宿舎が残り、その場所を展示会場、カフェ、レストランとして再利用。レトロな建築物やオシャレなお店が並ぶリノベスポットとして花蓮の文化を発信する主要エリアになっています。
休日には展示会やコンサート、手作りマーケット等のイベントも開催され多くの人でにぎわいます。
しかし筆者が足を運んだ昨年7月は、地震の影響もあり、かつてのようなにぎわいを感じられなかったものの、お店は営業しており、カフェでは友達と語らったり一人で優雅に本を読んでいる人もいました。最近では期間限定のイベントも盛んに開催され観光客が戻ってきているようです。行かれる際はぜひチェックしてみてくださいね。
▶公式HP
6.東大門夜市

花蓮に来たら必ず訪れたい「東大門夜市」
原住民料理やB級グルメを食べ尽くし! とにかく広い「東大門夜市」は、面積9ヘクタールの大きさを誇る巨大夜市。
「福町夜市」「自強夜市」「大陸各省一條街」「原住民一條街」4つの通りからできており、お店は400以上の屋台が並びます。花蓮の特産物を活かしたB級グルメや原住民料理、夜市ならではのゲーム、音楽ステージも豊富にあり、ほかの地域の夜市にはない情緒があります。
国内外から多くの人が訪れる人気観光スポットの一つでもあり、花蓮に来たら誰もが必ず一度は足を運ぶ場所となっています。

いたるところから美しい歌声とおいしい香りが漂う唯一無二の夜市
地震直後は観光客が激減。シャッターが降りているお店も多くあり、広い道いっぱいに人があふれて歩きづらかった以前のようなにぎわいは薄れていました。しかし、ここも観光客が徐々に戻ってきており、以前と変わらずステージで歌手がパフォーマンスを披露したり、路上ステージで歌う原住民のお兄さんがリクエストに応えてくれ「五月天(台湾の人気バンド)」の歌を歌ってくださったりと(笑)、ゲームやグルメも堪能できて地元の人との交流もゆったり楽しめる唯一無二の夜市であることは、今も変わりありません。
7.花蓮観光糖廠

子供から大人までおすすめ!「花蓮観光糖廠」
親子で楽しめる観光レジャー農場「花蓮観光糖廠」。
1913年、壽豊郷に設立された製糖所で、別名「鯉魚尾製糖工場」とも言われています。
2002年に、国際的な砂糖価格の下落とWTO(世界貿易機関)への加盟というダブルの打撃を受け、花蓮製糖工場は80年におよぶ歴史に幕を落とすことになります。その後、観光レジャー施設として新たに生まれ変わり、現在は多くの観光客でにぎわう観光農場として知られています。

園内にはお土産ショップもたくさんあり、のんびりくつろげます
糖業文化園区にある工場特製のアイスクリームが人気のようで、「ここに来たからには必ず食べないと!」と、地元の友人にアイスクリーム店へ案内されました。味は定番のバニラやチョコから、台湾ならではのタロイモやマンゴーなど種類豊富で迷ってしまいます。せっかくなので花蓮の特産でもあるローゼル味を食べました。酸味があって濃厚で美味しく、大きな太陽に照らされ蒸し切った体をひんやり冷やしてくれました。
そのほか、観光客向けのガイドサービスや、園内には日本統治時代の木造官舎群や創作工房もありDIY体験や芸術品の展示販売なども楽しめます。さらに、周辺のサイクリングロードや観光スポット、大農大富平地森林園区と組み合わせて、広大な観光コース&景観スポットとなっており週末は多くの観光客でにぎわう花蓮の人気スポットです。
▶公式HP
8.2025太平洋南島聯合豐年節

2025年7月18日~7月20日に決定!(公式Facebook)
最後にぜひ紹介したいのが、毎年夏に花蓮市内で3日間にわたり繰り広げられる原住民族の祭典「2025太平洋南島聯合豐年節」。今年も花蓮県徳興運動場横の大草原にて、7月18日(金)~7月20日(日)に開催することが決定しました!
花蓮に住む原住民6族(アミ族、タロコ族、セデック族、ブヌン族、サキザヤ族、クバラン族)の伝統文化の発展と継承のために企画され、すでに国内外からも多くの人が参加する台湾原住民族の国際的なイベントとなりました。

早めに場所を取れば、間近で原住民の踊りを楽しむことができます!
ステージでは、音楽やダンスに長けたプロのダンサーによる迫力ある演技が繰り広げられ、広場では原住民特色グルメエリア・手工芸品展示即売エリア・各原住民の農産特産品・原住民集落プチ旅行の紹介などといった様々なブースがずらりと並びます。昨年は400ブース以上が出店しており2日間行きましたが時間がまったく足りませんでした!
気になった方は公式Facebookをチェックしてみてくださいね。行くのが決まった方は早めにホテルをとっておくことをおすすめします。
▶公式Facebook
▼台湾原住民族の文化を体験できるスポットはこちら!
【台湾原住民族を学ぼう② 】アミ族編:台湾野球の快挙を支えた「アミ族」の文化に迫る!
花蓮の気候・ベストシーズン

台風は避けたい! 花蓮のベストシーズンは……?
ベストシーズン
花蓮は南北に長く、東は太平洋、西は3000m級の山々がそびえたつ特殊な地形にあります。
ベストシーズンは12月~4月で、平均気温が18℃と日本に比べると温かく雨が少ない時期です。しかし降水日数は多いです。
一方で、5月~10月は雨の多い時期となります。夏場は気温が30℃以上になりスコールもあるので晴れていても折りたたみの傘は必須です。また、厄介なのが台風。太平洋側ということで台風の影響をモロに受け、今年も大きな台風が度々花蓮を襲い大きな被害を受けた地域もあります。
旅行が決まったら直前まで天気予報をチェックするのを忘れずに!
アクセス

鉄道で台北から約2時間半……意外に近い?
花蓮へアクセスする方法は、台湾鉄道・飛行機・バス・自動車の主に4種類。
◆飛行機
台北松山空港 ↔ 花蓮空港 約50分
高雄空港 ↔ 花蓮空港 約1時間
時間がなくできるだけ早く行きたいという方におすすめです。
◆鉄道
台北駅 ↔ 花蓮駅 約2時間半
花蓮駅 ↔ 台東駅 約1時間半
高雄駅 ↔ 花蓮駅 約4時間半
のんびりと車窓からの風景を見ながら鉄道旅も楽しみという方におすすめです。
山側の席をとれば、遠くにそびえ立つ「タロコ渓谷」を、海側なら「清水断壁」を車窓から眺めることもできます。
◆バス
【花蓮バス】花蓮 ↔ 成功(海線1145路線) 約3時間
【鼎東バス】花蓮 ↔ 台東(海線8119路線)約4時間
花蓮や屏東から特定のエリアに向かう場合は、バスが安くて便利です。ただし、台北からの直行便はなく、渋滞すると予定より大幅に時間がかかることも。時間に余裕があり交通費を節約したい方におすすめです。
自動車
台北 ↔ 花蓮(台9線) 約160km
花蓮 ↔ 台東(台11線) 約170km
高雄 ↔ 花蓮(台11線) 約330km
広大な土地が広がる東エリアは、各スポットまでの距離も長く公共交通機関のみのアクセスはなかなか困難なことも。勇者にはレンタカー旅もおすすめです!
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次回は花蓮のグルメを紹介!
花蓮には美しい太平洋を眺める絶景スポットや、親子で楽しめる観光レジャー施設など、ほかの地域にはない行く価値のある観光地がたくさんあります。
そんな魅力あふれる花蓮でしか食べられない美味しいグルメもたくさんあるので、次回たっぷりとご紹介します!
台湾旅の行き先を悩まれている方はぜひ、花蓮も候補に入れていただけると嬉しいです。花蓮へ足を運び、花蓮の魅力を知って、みなさんで花蓮を引き続き応援しましょう。
花蓮加油~!(花蓮がんばれ~!)
▼花蓮と一緒に楽しみたい台東のおすすめスポットはこちら!
【台湾案内】台東おすすめスポット&イベント7選!
筆者プロフィール

加賀ま波(MAHA)
台湾大好きライター│ハンドメイド作家
著書に『台湾を自動車で巡る。台湾レンタカー利用完全ガイド』(なりなれ社/KKday・budget協賛)、『慢慢來 あの日の台湾210days』(想創台湾)がある。
2011年、はじめての台湾旅行中に東日本大震災が発生。台湾から見た日本の情景と、自分自身の台湾への無知さとの乖離に違和感を感じ「台湾をもっと知りたい」と思うようになる。同年、嘉義県大林のボランティア活動に参加し、台湾人の温かいおもてなしとキテレツな文化に触れ、帰国後もずっと台湾のことが頭から離れなくなる。その後も渡台を繰り返し、2021年のコロナ禍にワーキングホリデーと留学の夢を叶える。
現在は、美麗(メイリー)!台湾の専属ライターとして、取材執筆、SNS運営、イベント運営などを担当。個人の活動では「想創Taiwan」というブランドを展開、原住民レースなどでオリジナル雑貨を創作し日本各地の台湾関連イベントで販売中。HP・通販/Instagram