百年の時を越えた精密な工芸、客家の青シャツを再現

台湾東部

鳳林鎮(ホウリンチン)は、人々・文明が蓄えてきた豊富な知識を持っています。
染織工房は有形文化財と客家模様をテーマに、文化財への志と技芸伝承者の養成を行っています。それを種に、文化財の保存、修復という使命を果たしています。

鳳林鎮(ホウリンチン)は客家の村で、初期に東部に移動し、開墾した客家たちが根を下ろしました。このときに、客家の文化や慣習も一緒に鳳林(ホウリン)へ持ちこまれました。しかし、都市と農村の発展の差と交通設備の建設に直面し、多くの若者が出て行ってしまいました。また、客家文化も次第に流行の文化に取って代わられてしまいました。歴史の記憶と伝統文化が消えていく状況に直面し、客家文化をどのように保存し、普及するかが非常に重要な問題となりました。

織られているリボン

鳳林の文学・歴史と客家の服における花帯(リボン)をテーマに、取材学者や高齢者の記憶を調査し、客家の青シャツの服から花帯の記録様式を活用することで、蓄積した豊富な文化的知識がわかるようになりました。今後はさらに、工房において、織物と草木染めの技術を備えた人材を育成するとともに、様々な形の工芸技術でこれらの重要な模様を再現・再製作したいです。

伝統的な客家の青シャツをいつか復元・再現できると期待しています。そうしてこそ、東部の客家移民文化の特殊性が生まれ、東部の客家移民と原住民などの多様な民族間での交流が増え、それらの文化が調和し、生き生きとする姿が見られるでしょう。

客家織りを真剣に学んでいる子ども

青シャツを着た街中の女性たちの景色

鳳林の90代の林先華さんとのインタビューで、彼は、若いころ新竹の街で、街中の女性たちが青シャツを着ている風景を印象深いように述べました。また、彼は女性たちの、この最も流行し、普遍的であったスタイルをスケッチしました。鳳林に来て開墾した人たちは、かなり貧しく質素な生活をおくり、このように高級で華やかな服を着る人は多くありませんでした。

客家の織りも青シャツに保存されているかもしれないと、文献調査を行いました。すると、鄭恵美氏(2018)が『台湾客家服飾民間収蔵調査研究』という報告書で、現在コレクターたちが所蔵している客家の青シャツを豊富に記録し、調査・整理したことがわかりました。報告書からは、多くの「ジャカードリボン(緹花織帯)」が客家の青シャツに応用されていることがわかります。詳細な写真や文字での描写があり、リボンのデザインや色が記録されています。

清末の複雑で華やかなリボンがついた客家服

客家の青シャツの美しい織紋が再現される可能性

客家の青シャツは、すでにコレクターが所蔵するような重要な文化財ですが、時間が経つにつれ、これらのリボンに現れる染織め技術は次第に消え、その中の文化的含意も一緒に消えていきます。現在花東では織物技術の面において、原住民の織物の保存活動が行われ、技術がかなり整っているうえに、織物の基本原理は同じであるため、模様をデザインする能力が向上しています。このことから将来、伝統的な模様を再現することは決して難しくありません。

鳳林は特殊な草木染めの技術をもつ重要な群落

精密なデザインが施されている

伝統的な木綿糸はすべて植物系の染料または鉱物系の染料を採用しています。鳳林は伝統的な客家の草木染め技術を保存・学習し、すでに15年が過ぎたため、草木染め職人を20人以上養成し、特殊な草木染め技術伝承者の群落となりました。

様々な植物を通して異なる色を染め出すことができ、また、熱して行う染色と冷染の2つの重要な技術を兼ね備えています。2種類の植物染色液を配合する複色染めの技術は、100種類以上の色を染め出すことができるほどです。

織物の原理は通じている、技術からデザインまで追求

私たちは2つの重要な技術を保存しています。まず、「織る」という技術です。伝統的な客家の3本の竹棒を使おうと、改良型の卓上織り機あるいはカード織り機を使おうと、それらは工具の違いだけで、織る上での原理とロジックは全て同じです。しかも、今は、デジタルアプリ予測演算が出した模様を用いることで、模様の設計と復元の実行可能性が非常に高くなりました。2つ目に、「染め」の伝統技術です。鳳林花のタオル草木染め工房の技術蓄積によって、彼らが再現できない色はほとんどありません。

この2つの無形文化遺産の技術の保存、関連人材の育成と持続的な普及は、一方では現地の文化アイデンティティを深め、地方変移史と民族開発史の過程を更に理解することができます。他方では、未来において、客家の青シャツの完全な修復や再現の重要な仕事のひとつ、襟のリボン部分に、染織技術を利用することができます。

先ほどの写真のリボンが使われているシャツ

女性たちが客家の染織の新しい姿をみせる

私は20年以上コミュニティづくりに携わってきましたが、高校時代から織物が好きだったので、コミュニティに織物グループを作って、興味のあるコミュニティの住民に織り方を一緒に学ぼうと呼びかけました。

織物の技術を身につけるに従い、自分が織物を学んでいる時に知った多くのトーテムは、原住民族文化の中で重要な象徴と意味を持っていることに気がつきました。鳳林、客家の小さな町に住む私は、客家の織紋の意図を探そうという気になりました。この好奇心に駆られて、客家の織紋の歴史を開き、跡をたどりました。

綿密な調査を経て、かつては、客家、閩南問わず、自分の民族に属する織紋の伝統を持っていたことがわかりました。ただ近代化の洗礼をいち早く受けたため、いち早く紡績機や工場が、家内工業や小さな集団による工房に取って代わり、伝統的な手工芸の織紋は歴史の大きな流れの中で次第に消えていったのです。

色とりどりのリボン

「図面の収集を通じて、私たちはやっと100、200年前の客家の織物の繁雑さと美しさについて、より深く認識し、理解するようになりました」。そうして、絶えず移動する過程の中で、民族が混在し、文化が融合した現代には、いわゆる「純血」な工芸文化は存在しにくいだけでなく、現実離れした考えであると思いました。

しかし、行動によって、歴史の記憶が再構築され、文化の蓄積となり、革新を試みつづけ、伝統工芸と現代文化に対話の空間を作ることができます。もしかすると文化の精神と性格を保ち、流れ込む水となり、工芸の百花斉放の時代に、伝統を新たな形で再現させる機会があるかもしれません。

 



鳳林
に住む李美玲さんは、コミュニティの立ち上げ、地方活性化に取り組んでいます。
「スローシティはシンプルです、ただ良い生活なだけです。」



原文:李美玲
出典:遊譜YOUPUT

穿越百年尋找精密工藝,重現針線交織的客家藍衫-遊譜YOUPUT
鳳林鎮擁有豐富的人文底蘊,織染工作坊以有形文化資產及客家圖紋為主題,以培訓文化資產志工與技藝傳承者作為種子,達成保存與修復文化資產的使命。-遊譜YOUPUT網站

 

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