成熟を見せる台湾の建築にせまる
台湾には大型の現代建築がたくさんあることを知っていましたか?
深い自然や美しいビーチ、もちろんおいしい料理やアジアらしい文化なども台湾の魅力ですが、実は近現代建築も見逃せないんです!
台湾の建築の進化
台湾の建築の進化はすなわち、20世紀半ばの台湾の激動の歴史の産物です。
そのため、今後のことをを見る前に、まずは過去を振り返る必要があります。
1949年の中国の内戦終結後、約200万人が中国本土に到着したため、台湾(特に都市部)では深刻な住宅不足に直面しました。
そのため、20世紀半ばの台湾の建築では美ではなく便宜が優先事項でした。
また、20世紀半ばの台湾政府は恒久的な家ではなく「一時的な活動拠点」と見ていたため、綺麗に見せる必要がないとい考えていました。
そのため、台湾は20世紀後半に非常に急速な成長を遂げましたが、そのほとんどは美よりも実用性を優先されたものとなりました。
80年代~50年代:古典的な中国スタイル
しかし、1950年代から1980年代の間に構築された名声作品には、機能と美しさを兼ね備えてたものもあります。
これらの建物の多くは台湾の建築景観の象徴的な特徴を持ち、最も有名なのは円山大飯店、国立故宮博物院、中正記念堂、中正記念堂近くの国立コンサートホールと国立劇場などです。
20世紀に建てられたこれらの建物は、全て伝統の中華式です。
世紀の変わり目:近代建築が台頭する
1990年代に事態は変わり始めました。
戒厳令が解除され、台湾はより豊かで洗練され、人々は清朝の寺院や日本の植民地時代の建物よりも、都市に建築の美しさを求めました。
1997年に完成した高雄85ビルは、台北101が建設されるまで台湾で最も高いビルでした。
台湾のランドマーク:台北101
2004年には台湾で最も著名な建築家、李祖原の台北101が完成しました。
台北101は2010年にドバイのブルジュ・ハリファに敗れるまで世界で最も高い塔でした。
台北101は竹の茎のように優雅でエレガントな外見と、台湾の台風や自身に負けない建築技術で高く評価されています。
内部の92階から87階までの間には、660トンの鉄製振り子が下がっており、免震構造の大部分を担っています。
展望台に上がると、その振り子を見に行くことができます。
サステナブル建築:台北公立図書館北投支点
台北101の完成が台湾建築の都市精神の刷新を象徴するものであれば、台北公立図書館の北投支部は、台湾建築のより牧歌的かつアカデミックな面を表していると言えるかもしれません。
2006年に北投の公共温泉からすぐにオープンしたこの2階建ての建物は、水と電力の両方の消費を最小限に抑えるように設計されていることで有名です。
大きな窓からは内と外の両方から並外れた景色が見渡せ、屋根には太陽光パネルと共に、雨水を取り込む循環システムが導入されています。
設計事務所「九典」によって設計されたこの図書館は、周囲の環境と非常によく調和していて、多くの賞を受賞し、米国を拠点とする文化ニュースWebサイトであるFlavorwireから、世界で最も美しい25の公共図書館の1つに選ばれました。
20世紀:実験的となる台湾建築
20世紀に入ると、台湾の建築シーンはまた新しいフェイズへ移行します。
2010年には象山ビジターセンターが日月潭文武廟のほとりに完成し、20世紀に古代中国を思わせるような構造で建てられました。
建築家團紀彦によって設計されたこの構造は、中央の天蓋を備えた2つの湾曲した翼で構成され、周囲の風景の自然の美しさとシームレスに溶け合っています。
このビジターセンターの完成も後押しして、日月潭はアジアで最も美しいスポットの1つとして知られるようになりました。
2012年に完成した高雄の中鋼集団総部ビル(台湾の建築家姚仁喜が設計)は、台湾南部に建築されました。
中央のコアで結合された4つの個別のタワーで構成されるこの多面的な超高層ビルは、スチールとガラスの折り紙の彫刻に似て、幾何学的でユニークです。
この建物には、米国在台湾協会の台南支部(領事館のようなもの)なども入っています。
台東市では、2014年に国立台東大学図書館情報センターが完成し、台湾の建築マップに掲載されました。
世界で最もユニークな図書館の1つとして認められているこの13,000平方メートルの建物は、象山ビジターセンターのように周辺地域に溶け込み、台東の景色を一望できることでも人気です。
2016年、国立台中劇場は建築業界を席巻し、台湾中で注目されました。
日本人建築家・伊東豊雄が英国スリランカのアーティスト、セシル・バルモンドと共同で設計したこの建物は、直線的なコンクリートの壁と、まるで巨大な卵の中にいるような気分になる繊細な丸いインテリアを特徴としています。
台湾建築の未来
では、台湾の建築シーンの将来はどうなっていくのでしょうか?
台北101のある信義地区で近年話題を集めたのは、「Tao Zhu Yin Yuan Tower(陶朱隠園)」です。
ベルギー人建築家ビンセント・カレボーによるこの高級マンションは、ねじれた構造で非常に人目を引いています。
また、ただ外見が美しいだけではなく、ファサード、屋根、バルコニーには23,000本以上の木と低木があり、年間約130トンの二酸化炭素を吸収する、エコな建築でもあります。
また、高雄にてオランダのメカノー建築事務所が設計した衛武営国家芸術文化センターも見逃せません。
141,000平方メートルの世界最大の舞台芸術センターで、5つの最先端のパフォーマンススペースを1つの屋根の下に組み込んでいます。
より環境にやさしい建物、より多くのパブリックアートスペース、そして実用性と装飾性の統合。独自の進化を見せ続ける台湾の建築シーンから、今後も目が離せません!
(本記事はTaiwan Sceneより転載許諾を得て翻訳・掲載しています。オリジナルのコンテンツはTaiwan Sceneにて掲載しています。)