台湾東海岸で最大級のアート&音楽フェス「2024東海岸大地藝術節」9月20日まで開催中!

カルチャー

台湾東海岸で最大規模のアート&音楽フェス『2024東海岸大地藝術節(以下、『東海岸大地芸術祭』)』が、6月21日~9月20日まで開催中!

2024東海岸大地藝術節宣傳影片 TEC Land Arts Festival 2024 PROMO

2015年よりスタートし、今年で10年目を迎える『東海岸大地芸術祭』
舞台は豊かな自然と原住民文化が根付く「花蓮県」と「台東県」の東海岸。美しい太平洋が広がるこの東海岸を中心に、芸術家たちが大自然と融合した壮大なアート作品を展示します。

さらに、人気アーティストがステージで歌を披露する「月光.海音樂會(以下、「月光.海コンサート」)」は毎年大好評の音楽イベントとなり、国内外から多くの人がこのステージを見るためにわざわざ台東県に訪れるほど。コンサート期間中は、地元の特産物や原住民工芸品を販売するマルシェなども盛大に開催されます。

そんな、台湾の奥深いカルチャーを五感で体感できる『東海岸大地芸術祭』の見どころを一挙ご紹介します!

▌30点のアート作品が東海岸に出現!

今年は、日本、マレーシア、インドネシア、台湾の花蓮県・屏東県出身の国内外から5組のアーティストを選出。美しい太平洋の海と大自然に溶け込む巨大な作品の数々は、見る人の心を魅了し、台湾の東海岸でしか出逢うことのできない新しい景色を生み出します。

作品MAP『東海岸大地芸術祭』公式HPより(地図:GoogleMAP使用)

過去に創作されたアート作品も含めると30点の作品が、東海岸と離島の綠島に展示され、自由に参観することができます。
▶作品MAPはこちら

2024年に選ばれた5組の作品紹介

今年のテーマ「成為流動的邊界(流れる境界線になる)」に合わせて、自然界の様々な流れや美しさを表現する5組のアーティストと作品を紹介します。

『在海與山之間 – 漂流神』杉原信幸・中村綾花

『在海與山之間 – 漂流神』杉原信幸・中村綾花
台湾に根付く原住民文化に魅了され、一年のほぼ半分を台湾で活動する環境芸術家・杉原信幸さんと、パートナーで天然繊維創作家・中村綾花さんの共同作品『在海與山之間(海と山の間) – 漂流神』。

『在海與山之間 – 漂流神』杉原信幸・中村綾花

前身となる2020年の作品に次ぐ本イベント2作品目となります。海の産物とも言えるサンゴ石や、石灰、砂、もち米、黒糖、海藻礁からなる三重土を使い、時間をかけすべて手作業で丁寧に素材を積み重ねています。自然と融合する巨大なアート作品は、美しい島の山々と周囲の海を繋ぎ、原住民文化を生み出した島の自然に敬意を表しています。

『等待漲潮 – mataktak 大出』A’po陳昭興・王婷婷

『等待漲潮 – mataktak 大出』A’po陳昭興・王婷婷
花蓮県港口出身のアミ族である芸術家・陳昭興さんと、パートナーの王婷婷さんによる作品『等待漲潮(潮が満ちるのを待っている) – mataktak 大出』。
アーティスト、職人、壁画制作、講師など多岐にわたる芸術関連の仕事に長く携わってきた2人は、台湾東部と南部の部族コミュニティや学校で大規模な作品を多く残しています。

『等待漲潮 – mataktak 大出』A’po陳昭興・王婷婷(公式HPより)

作品のタイトルにある「mataktak」とは、アミ族の言葉で「注ぐ」という意味。器に重要な食糧である稚魚が注がれた姿が三日月の形に似ていることから、アミ族の漁師はそれを「下弦の月」と呼びます。
漁師たちは、漁の際に自然界に有害な方法は一切使わず、厳選した竹を何千本も使った手作りの三角網を使い、年長者から受け継がれた伝統的な漁法を今も継承しています。
捨てられた漁網や竹などを使って作られた作品は、見る人を引き付ける鮮やかな配色で「下弦の月」を表現。2020年の前作に続き、「持続可能な伝統漁法を受け継ぐアミ族の美しさと、太平洋における産業破壊的な漁法との共存への苦しみ」 を表した作品でもあります。

『癒室』陳依慧

『癒室』陳依慧
台湾・屏東出身の多才アーティスト・陳依慧さん。誠品敦南店など様々な場所で個展を開催するほか、映画、MVの特殊メイク、プロデュースも手がけています。

『癒室』陳依慧

植物のシダをイメージして作られた作品『癒室(癒しの部屋)』は、シダの若葉の形によく似たクエスチョンマークのように「うねる」かぎ状の部分が見えます。
体・心・魂は植物のように、空気・太陽・水を通して自然から養分を受け取ることで、困難を乗り越え、より良い存在になっていく……と考え、日常の汚れを洗い流すお風呂場のように、この作品が見る人の心と体を浄化し癒してくれる場所になっています。青い海と緑の木々に溶け込む作品の中に入り込み、身も心も母なる地球に包まれ癒されていく感覚を体全身で味わってみてください。

『蕨處逢⽣ Vitality in Ferns』陳抒漫

『蕨處逢⽣ Vitality in Ferns』陳抒漫
クリエイティブ・アーティストとして活躍するマレーシア出身の陳抒漫さん。国立台湾芸術大学の中華美術修士課程を修了、多くの個展を開催するほか、共同展覧会や様々なアート活動に参加しています。

『蕨處逢⽣ Vitality in Ferns』陳抒漫

竹や籐、漂流木などを使って巨大カタツムリを表現した『蕨處逢⽣ Vitality in Ferns(シダの生命力)』。
陸の上をゆっくりと動くカタツムリは、もともと海に生息し、海の貝類から進化した最古の生物でもあります。作品に使われているシダ植物もまた、地球環境の大きな変化に適応し今日まで進化を遂げてきました。
それぞれの生き物は独自の生活習慣と生息地を持ち、時の流れと移動を通して現在の生態系、すなわち地球を形成していることを表現しています。
天然の竹とスライスした竹の2種類を組み合わせダイナミックで自然な弧を作り、シダ植物や、籐、漂流木など異なる素材の質感と美しさも同時に表現した作品となっています。

『Jukun 漁船』伊.馬爹 蘇卡拉灣 I Made Sukariawan

『Jukun 漁船』伊.馬爹 蘇卡拉灣 I Made Sukariawan
インドネシア・バリ島出身の芸術家・I Made Sukariawan(イ・マディエ・スカリアワン)さん。
過去数十年にわたり、世界中の様々な国で活動をしながら視野を広げた後、台湾に移住。世界各国の芸術に触れる中で、木を心から愛するようになり、自らの手によって未完成の木に命を吹き込み、自由で制約のない作品を創造することを得意としています。

『Jukun 漁船』伊.馬爹 蘇卡拉灣 I Made Sukariawan

本イベントの作品『Jukun 漁船』の主な構造は木材、天秤棒や帆など残りの部分は竹で作られています。壮大な太平洋を目の前に静かに佇む大きな漁船。船体底の地面には竹を垂直に差し込み、倒れないようバランスを保っています。「Jukun」はインドネシア語で漁船の意味で、台湾と母国の海、そして木への愛を深く感じる作品です。

▌豪華アーティスト出演「月光.海コンサート」

夜の月明りと太平洋の海に包まれる「月光.海コンサート」(昨年の様子)
毎年大盛り上がり! 人気アーティストも多数出演(昨年の様子)

著名アーティストが会場を盛り上げる音楽祭「月光.海コンサート」も一見の価値あり!
今年は10周年を記念し、日本の仏系歌手・薬師寺寬邦をはじめ、インドネシアの南僑幇舞踊団、世界で活躍する台湾の十鼓打楽団など、国内外の著名アーティストが招待されています。

2024年音楽会スケジュール

8月20日(火)-21日(水)、9月19日(木)-20日(金)と残る6回のコンサートも見逃せません。

出場アーティストの紹介

薬師寺寛邦 キッサコ

藥師寺寬邦 キッサコ
アジアで爆発的な人気を誇る、歌う僧侶。
今回の音楽祭で唯一の日本人主演者。般若心経などの仏教経典に声を重ね音楽アレンジし、唯一無二の楽曲を多数リリース。YouTubeでは、般若心経の演奏動画が450万回再生突破、関連動画の総再生数は世界で累計1億回を超えています。中国・香港・台湾・マレーシア・シンガポール・オーストラリアなど様々な国で大盛況を呼び、ワールドツアーでは約2年で1万人以上の動員を記録。
仏教の教えにも繋がる「生きる」上で大切にしたいことをテーマに、日本からアジア、そして世界へ、仏教を音に乗せ、伝え続けています。
この夜、寬邦法師は東海岸に広がる太平洋の前に立ち、経文の唱和と電子音楽を融合させ、現代音楽で法を説きます。その温かい声で経文を歌い、聴く人の心の雑念を一つ一つ取り除いていきます。

HUSH(ハッシュ)

HUSH(ハッシュ)
台湾の音楽シーンをリードするシンガーソングライター。
台湾版グラミー賞とも言われる金曲獎(ゴールデン・メロディー・アワード)の最優秀作曲賞を2年連続で受賞した、現代華語ポップス界の天才歌手です。
台湾の超一流アーティストである張惠妹の「Bloody Love Story」、孫燕姿の「Kepler」、徐佳瑩の「尋人啟事」など、これまで多くのヒット曲も手掛けています。
実は日本人歌手とのつながりもあり、東京事変のメンバー・亀田誠二さんや長岡亮介(浮雲)さんがHUSHの編曲を手掛けたことも。
ステージに立つ神秘的な姿と、憂いを帯びたスモーキーな歌声で、月光海の下、聴いた人の心をわしづかみにしてくれることでしょう。

鄭興(ジェン・シン)

鄭興(ジェン・シン)
台湾音楽に新しい風を吹き込む大陸シンガーソングライター。2014年に中国から来台し、政治大学の大学院に入った後、東海岸の創作キャンプでその才能が開花。花蓮港口部落で生まれた名曲「愛人」は台東都蘭の愛人録音室で録音され、その優しい歌声は多くの人の心を魅了しました。
さらに、台湾での日常を音楽として記録したアルバム「忽然有一天,我離開了台北」が第29回金曲賞の新人賞、最優秀国語アルバム賞、年間アルバム賞にノミネート。そして今年の夏、鄭興は新しいアルバム「盆地」と「眼淚博物館」を持って、再び東海岸に戻ってきます。
台湾の東海岸で感じた自然の力と、鄭興自身の深い感性が融合した音楽は、一度聴いたら耳から離れない魅力があり、その優雅なライブパフォーマンスと感情豊かなしびれる歌声で、観客を夢のような世界へ連れ込みます。

9m88(ジョウエムバーバー)

9m88(ジョウエムバーバー)
ジャズ、ポップス、R&B、ソウル、ヒップホップなど多岐にわたるジャンルで魅惑の歌声を響かせるシンガーソングライター。愛称はバーバー。
若者を中心にじわじわと人気を集め、台湾国内のツアーでは全会場のチケットがソールドアウト。女優、ファッション、芸術の分野でも活躍する唯一無二の独立系アーティストで、台湾のポップ・ミュージック/アート・シーンの次代を担う才能とも言われています。
2018年には東京の青山月見ルで来日公演、2019年にはサマーソニックのBillboard Stageにも出演。今後の日本での活躍にも期待。
バーバーのスタイリッシュな歌声に体を思い思いに揺らしながら、東海岸の夏の澄みわたる夜空を存分に味わい尽くしましょう!

乱彈阿翔(ルアンタンアシャン)

乱彈阿翔(ルアンタンアシャン)
金曲賞・金鐘賞・金馬賞の三冠を達成した実力派ロック歌手。2011年にリリースのアルバム「把我換成你」は翌年、数々の台湾一流アーティストでもある蕭敬騰、陳奕迅、周杰倫、林宥嘉といった強豪たちを抑え、金曲獎の最佳國語男歌手獎を受賞し、歌王に輝きました。
独特の切ない声、心に響く真摯な歌声、前衛的なロックスタイル、そして異なるジャンルを融合させた独自の音楽スタイルは他に類を見ない天才的な魅力があります。
東海岸の輝く空の下に降り立つ乱彈阿翔の音楽は、会場をさらに盛り上げ特別な熱気に包むことでしょう。

▌地元の特産物・原住民工芸品に出会えるマルシェ

他では手に入れることのできない特産物や工芸品が並びます(昨年の様子・昼)
会場に響き渡る音楽を聴きながらマルシェで買い物(昨年の様子・夜)

コンサート期間中は、地元の特産物や原住民工芸品を販売するマルシェなども盛大に開催されます。
温かくて優しい月光と海に包まれながら、音楽の饗宴と買い物を存分に楽しむことができます。

▌アクセス

コンサート・マルシェ会場となるのは、都歷遊客中心。
有料バス・ライドシェアサービス(予約制)で台東駅などから直行便が出ているため、行かれる際はぜひ参考にしてみてください。

都歴遊客中心 · No. 25號, Xincun Rd, Chenggong Township, Taitung County, 台湾 961
★★★★★ · ビジター センター
シャトルバスの時刻表(公式HPより)


遠方からわざわざ足を運ぶ価値のある、見ごたえたっぷりの『東海岸大地芸術祭』

この夏はぜひ台湾の東海岸で太平洋と大地の風を感じながら、この地で生まれたアート作品、音楽、工芸品に触れてみてはいかがでしょうか。知られざる台湾の新しい一面を発見できること請け合いです。


■2024東海岸大地藝術節(東海岸大地芸術祭)
期間:6月21日(金)~9月20日(金)
主催:交通部観光署東部海岸国家風景区管理処
オフィシャルサイト

■月光.海音樂會(月光.海コンサート)
会場:都歷遊客中心(台東縣成功鎮信義里新村路25號)
日時:7月21日(日)-22日(月)/8月20日(火)-21日(水)/9月19日(木)-20日(金)
マルシェ:16:00~9:30/音楽ステージ:17:00~10:00
スケジュール
シャトルバス(予約制)

■出演アーティスト
一覧
<7月21日(日)チケット制>
鄭興/9m88/乱彈阿翔/HUSH/藥師寺寬邦
<7月22日(月)無料>
郁晴 X 米大吟唱隊/島嶼/陳永淘/百合花/黑旋風
<8月20日(火)企業協賛無料>
Suming 舒米恩×神秘嘉賓/紀曉君×神秘嘉賓/Sangpuy 桑布伊×神秘嘉賓
<8月21日(水)無料>
聲動樂團 A Moving Sound/福夢 FUMON/南僑幫 Nan Jombang Dance/幽法×Neil ×Shabani/林強 LimGiong×蔡明志 Gibson
<9月19日(木)無料>
克里夫 Cliff/邱軍/那屋瓦少女隊/Ponay的原式大樂隊/王宏恩
<9月20日(金)無料>
旺福 WONFU/泰武古謠傳唱/許景淳/巴賴Balai + gagaband×王駝/ABAO阿爆


記事執筆: 加賀ま波 (Maha)

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